石川県金沢市のお隣にある河北郡在住の北陸家庭料理研究家・大象みかです。きな粉というと、全国的に販売されているものは黄きな粉が多いですが、石川県では青きな粉も黄きな粉と同じように売られています。北陸放送の「絶好調W」という番組で、タレントの千原せいじさんが石川のうぐいす餅を食べて「青きな粉は珍しい!」とおっしゃっていました。
原材料が青大豆か普通の大豆かで色が違うのですが、おはぎを作って、青きな粉と黄きな粉の味の違いを比べてみます。

青きな粉と黄きな粉の違いは?

写真左が青きな粉で、右が黄きな粉です。一般的には黄きな粉を見ることが多いのではないでしょうか。関西も関東も黄きな粉がよく売られています。

青きな粉を売っている地域は限られていて、北海道、東北、北陸、甲信、中国地方で流通しています。広島では通称ウエマンと呼ばれている上万糧食製粉所の青きな粉も有名です。

黄色くないきな粉?!広島でお馴染みの「青きな粉」でスムージーも

古典落語の「茶の湯」でも、抹茶の代わりに青きな粉でお茶をたてる場面があります。

きな粉は大豆を炒って、粉末にしたものです。青きな粉、黄きな粉の他に、黒きな粉もあります。黒きな粉は黒豆で作られています。

青きな粉の原材料である青大豆は一般的な大豆より栽培が難しく、涼しい北海道、東北、新潟県、長野県、山陰地方などで作られています。普通の黄色い大豆はスーパーで見かけても、青大豆はスーパーで見かけないかもしれません。国産の青大豆は貴重で流通量も少なく、価格も高いので、あまりスーパーでは取り扱わないようです。

青きな粉と黄きな粉の栄養素はあまり変わらないのですが、青きな粉にはさらにβカロテンやクロロフィルが含まれています。写真のきな粉のカロリーは、青きな粉が100g当たり475kcal、黄きな粉が437kcal。青きな粉の方がわずかにカロリーが高いということになります。

封を開けて嗅いでみると、青きな粉はふわっと甘い香りがして、黄きな粉は香ばしい香りがしました。原材料は、青きな粉は青大豆、黄きな粉は普通の黄色の大豆を使用しています。青大豆は油分が少なく、糖分が多いのが特長です。

色や香りだけではなく味の違いも知りたくなり、おはぎを作って青きな粉、黄きな粉の違いを食べ比べてみることにしました。

おはぎの作り方

<材料・10~12個分>

  • もち米 2.5合
  • うるち米(普通のお米) 0.5合
  • 水 2.5合分
  • 粒あん 200gくらい

○黄きな粉 大さじ4
○砂糖 大さじ2
○塩 ひとつまみ

☆青きな粉 大さじ4
☆砂糖 大さじ2
☆塩 ひとつまみ

<作り方>

  1. もち米とうるち米を合わせて研ぎ、1時間ほど水にひたしておきます。
  2. 1時間ほど経ったら、2.5合のメモリまで水を入れて、炊飯器で炊きます。その間に○と☆をそれぞれお皿に合わせておきます。
  3. 粒あんも30gくらいずつに分けておくと便利です。
  4. お米が炊き上がったら5分ほど蒸らして、水で濡らしたしゃもじでしっかり返してから、ボウルにあけます。めん棒かすりこぎでご飯粒が残るくらいに潰します。
  5. ラップを2枚用意して、間にお米を入れて少し平らにします。ラップを使うと手が汚れにくくて便利です。
  6. ラップを1枚はがして、あんを入れ、ラップのまま丸めます。
  7. 手で握った方が作りやすい方は、手で作ってももちろんOKです。手を水で湿らせながら作ると作りやすいです。
  8. 黄きな粉を全体にまぶしたら出来上がりです。青きな粉の場合も同じようにします。おはぎが湿ってきたら、もう1度きな粉をまぶすと良いですね。

青きな粉のほうが甘い!

今回のおはぎは、お米に味をつけないで甘さを控えめにして作りました。まず、おなじみの黄きな粉のおはぎを食べてみます。一口食べると豆を炒った時の香ばしい味がしました。

きな粉には塩をひとつまみ入れているので、砂糖の甘みも引き立ちます。塩の重要性も感じました。今回は市販の缶詰のあんを使いましたが、甘すぎず、すんなりと食べられる甘さです。

青きな粉のおはぎを食べてみると、砂糖は同じ分量を入れているのに、こちらの方が甘く感じました。青きな粉自体にほんのりとした甘みがあります。青きな粉を使った場合は砂糖を少し控えても良いかもしれません。

青きな粉は爽やかな豆の香りがします。見た目も若草色で春らしいですね。うぐいす餅にも使われるので春のお菓子に向いていると言えるでしょう。

青きな粉を見つけたら味わってみてください!

青きな粉がお近くにない方は、旅先で見つけたらぜひ購入してみてください。黄きな粉とは違った甘い香りを楽しめます。通信販売でも購入できます。

おはぎだけではなく、お餅につけたり、きな粉ドリンクにしたりもできます。青きな粉の香りや風味を味わってみてください。