タイ・バンコク市在住のアマハッチャン・キャットワンチャイ(男)です。東京下町出身の東京下町育ち。世界各地を流浪の末、やがてバンコクの地に落ち着きました。既に在住8年目となります。日常生活を通じて得たタイのローカル食に関する情報などをご紹介させていただきます。今回のテーマは、タイでは定番食材でもある「ケール」を使った料理「パッカナームークローブ」です。

堅くて青臭いけど栄養満点の野菜「ケール」とは?

「ケール」はアブラナ科に属するキャベツやブロッコリーの仲間にあたる植物です。青汁の主要素材でもあるケールはその栄養価の高さから“緑黄色野菜の王様”と呼ばれています。しかし、その特有の青臭さから“ケール=マズい野菜”という印象が強いかもしれません。

とはいえ、最近では様々な工夫がされているようです。日本ではコストコで“オーガニックベビーケール”が販売されています。生のままサラダでも食べられるほどに臭みが抑えられた人気商品だそうです。

一方、タイで多く食べられているケールは「カイラン菜」と呼ばれる種類のものです。英語名は「チャイニーズ・ケール」、葉に対して茎の部分の割合が多くこの茎ごと料理に使われます。

茎の部分は堅いので生のまま食べられることはなく、炒めたり茹でたりする食べ方が一般的です。食感としてはブロッコリーの茎に近いと思います。

茎ごと調理、ピリ辛ケール炒め「パッカナームークローブ」

ケールと豚肉のから揚げ、赤唐辛子、ニンニクをサラダオイルで炒め、これをオイスターソースで味付けしたものがタイ屋台の定番メニュー「パッカナームークローブ」です。とても簡単なレシピなので材料さえそろえば自宅でも作れます。

ちなみに、“パッ”とはタイ語で“炒める”という意で、“カナー”がケール、“ムー”が豚、“クローブ”は揚げ物を意味します。強火で一気に炒める料理なので、実際の調理時間は1分もかかりません。これをパラパラのタイ米の上にかけるのが一般的な食べ方です。

鮮やかな緑色、栄養豊富なケール炒めをご飯にのせていただきます。

ケールは葉だけでなく茎ごと炒めます。ゴリゴリした強い歯ごたえが特徴的です。強火で炒めてあるため青臭さはほとんど消えています。また、この料理に使われる豚のから揚げは何故かガチガチに堅くなるまでしっかり揚げられるのが特徴です。

まるで紙の束を噛んでいる様な歯ごたえなのですが、不思議とケールの歯ごたえとよくマッチします。堅いケールと堅い豚から揚げ、実はよく考えられた組み合わせなのかもしれません。

鳥のから揚げバージョンも

仏教国のイメージが強いタイですが、実はイスラム教徒もたくさんいます。イスラム教では豚肉を食べることが禁じられているため、イスラム系タイ人のお店では豚肉食材は一切使用されません。

その様な店でケール炒めの料理を注文した場合、豚の代わりに鳥のから揚げが使用されます。これが「パッカナーガイクローブ」です。“ガイ”は鳥の意味です。これはこれでアリ。鳥からタイプのケール炒め。


豚と比べて歯ごたえはかなりソフトになり料理の印象も変わりますが、日本の自宅でこの料理を再現することを考えた場合には、むしろ鳥のほうが身近で食材準備も容易かもしれません。チャイニーズ・ケールの入手が困難な場合はブロッコリーの茎で代用できます。

とにかくビールに合う!

一般的に辛い味付けが多いタイ料理はどれもビールによく合います。暑い土地で辛い料理を食べながら冷たいビールを流し込む。最高です。種類豊富なタイ料理ですが、この「パッカナームークローブ」は特にビールによく合うような気がします。

とてもシンプルなレシピですが、茎ごとガリガリ食べられるケールの歯ごたえは酒のツマミにピッタリです。辛い味付けでビールがどんどんすすみます。生温い風に吹かれて。

タイを旅行の際には、パッカナームークローブをぜひ食べてみてください。