宮城県仙台市在住のたべぷろ編集部員・日下千秋です。みなさんは「まころん」というお菓子をご存知でしょうか。色とりどりの「マカロン」と名前も形も似ているようですが…。今回は仙台駄菓子の1つとして発展してきた「まころん」についてご紹介します。

「マカロン」はアーモンド、「まころん」は落花生

まころんは小麦粉、落花生、卵、砂糖、重曹などを原料にした焼き菓子です。地元ではお茶うけとしておなじみで、スーパーでも販売しています。

コロンとした姿は、見た目はまるでクッキーのよう。ピンポン球をちょうど半分にしたくらいの大きさです。かじってみると中は空洞。食感はザクザクと固めでしっかりした歯ごたえがあります。落花生が使われているのため味は濃厚で、お茶やコーヒーのおともにぴったりです。

「まころん」「マコロン」「マカロン」。どれも名前がよく似ています。

まず、ひらがなの「まころん」とカタカナの「マコロン」。これらは宮城以外の企業でも作られています。
このふたつの原材料を比べてみると大きな違いはありません。商品によって大きさは様々あるようですが、とくに大きく異なる点は見受けられませんでした。

そしてフランスを代表するお菓子「マカロン」ですが、こちらは材料にアーモンドを用いて作られたもの。一方の「まころん」と「マコロン」は落花生が使われています。

海外から「マカロン」が日本に伝来してきた時期は不明ですが、イタリアの「マカルーン」というお菓子にも影響を受けたと言われています。

名前が似ていて紛らわしいですが「マカロン」や「マカルーン」の影響を受けて、アーモンドの代用として落花生を使い「まころん」や「マコロン」は日本各地で定着していきました。

参考サイト:
仙臺まころん本舗 (株)伊藤食品工業所
マカルーン/ ラタフィアビスケット ABsolute LONDON

仙台駄菓子とは

駄菓子の文化は全国にあります。昔ながらの駄菓子は、その地方で手に入る特産物を使って作られているのが特徴です。麦、ひえ、あわ、豆、くず米、黒砂糖などを使い、安くて大きく、より濃厚な味のものが好まれてきました。

「駄菓子」というのは、高級菓子に対する下等菓子の意味です。江戸時代まで、砂糖は薬として扱われるほどの貴重品でした。白砂糖の使用は大名や武士が食べる上菓子に限られていて、庶民が口にできる駄菓子には黒砂糖しか使えませんでした。

のちに国内でも砂糖が生産されるようになり、明治に入ると砂糖の輸入も増加していきました。それとともに駄菓子を作るお店やお菓子の種類も増えていきます。仙台駄菓子が有名になったのは、戦後のことなのだとか。

仙台駄菓子の背景として、伊達政宗の影響があるそうです。千利休らと交流があったことから茶の湯が流行し、お菓子作りが盛んに行われるようになりました。

伊達藩では仙台糒(ほしいい)という雑穀を原料にした携帯食を作っていました。そこからもちきび、うるきび、あわきび、とうもろこしきびなどの雑穀を原料として菓子種を作るようになり、また当時から米の産地でもあったため、くず米を利用しておこし類も作られました。

ほかの地域の伝統的な駄菓子と比べると、仙台駄菓子はごく素朴な見た目。きなこ・ごまなどを使ったねじり、しぐれ、兎玉、あめ、みそパンや黒パン、しそパン、あんこ玉、しおがま、かりんとう、ゆべしなど、すべて書ききれないほど種類が豊富で、どれも職人さんの手作業です。

駄菓子のなかにはずっと長い間親しまれてきたもの、駄菓子の普及につれて仲間入りしたものなどさまざまです。仙台駄菓子はどれもひとつひとつがしっかりとした甘さで、しっかりとした食感のものが多く腹持ちが良さそうなものばかりです。

参考サイト:
仙台駄菓子の石橋屋 駄菓子の心得
有限会社 元祖 仙台駄菓子本舗 熊谷屋

まころんのおいしい食べ方

落花生の風味が存分に味わえるまころん。一緒に合わせる飲み物は、甘くない飲み物がおすすめです。緑茶、紅茶、コーヒー、烏龍茶や牛乳など、和・洋・中どんな飲み物にもぴったりです。

地元ではお茶菓子として一般的です。お茶の時間に大人は緑茶やコーヒー、子どもは牛乳などと一緒に合わせることが多いです。

仙台駅の構内でも仙台駄菓子やまころんを買うことができるので、仙台のお土産としても好評です。地元のスーパーやコンビニでも手に入ります。

世代を超えて根強い人気のあるまころん。その気になるカロリーは、100グラムあたり500キロカロリーを超えています。落花生が使われているためカロリーが高めではありますが、個人的にはこまめにエネルギー補給をするトレッキングなど、アウトドアの行動食にも適していると思っています。

何種類もの駄菓子が入った詰め合わせには「どれから食べようかな」とわくわくしながら選ぶ楽しみもあります。ついつい駄菓子を選ぶのに迷ってしまうのは、今も昔も変わりません。

まころんもおすすめですが、たくさんある仙台駄菓子のなかから、ぜひお気に入りの駄菓子を見つけてみてください。