秋田県秋田市在住のたべぷろ編集部員の山下雄二です。秋田は私の生まれた場所で、祖父母も一緒に暮らしていたことから秋田の郷土料理や昔の文化と触れることも多かったです。今回は秋田県民でもなかなか目にすることの少ない松皮餅と、ひな祭りと関係性についてご紹介します。

松皮餅の由来は非常食にある

松皮餅の由来は戦国時代とも江戸時代ともいわれています。戦国時代の説では矢島藩主の生駒氏が兵糧攻めに耐えるための非常食として作られたようで、江戸時代という説でもやはり天明の大飢饉をしのぐための非常食として作られたようです。つまり松皮餅は自慢の料理や健康食品ではなく「生きるための発明品」だったようです。

私個人としては、県南の鳥海、矢島地域の名産として知られるため、戦国時代の説が正しいのではないかと思っています。

松皮餅の作り方や栄養は?

松皮餅の作り方は非常にシンプルで、普通の大福に松の皮を混ぜるだけです。松の皮を混ぜる分だけお餅の量を増やせました。もちろん生のままでは固くて食べられませんから松の皮をしっかり下ごしらえします。

まず外側の固い部分は使えないので柔らかくて若い内側の繊維を使います。次にアクを取って柔らかくするために何時間もかけて煮込まなければいけません。それだけの労力をかけてまで松皮餅を作るほど食べ物に困っていたことが考えられます。使われていたのは赤松です。

松の皮はお腹を膨らませるだけでなく、優れた栄養素を持っていることが分かってきています。特に注目したいのが松樹皮ポリフェノール。なんと松の皮から取れるポリフェノールはビタミンCを大きく上回る抗酸化力や中性脂肪を抑える効果が期待されていて、サプリメントに配合されることさえあるようです。

松皮餅を食べてみました

松皮餅は秋田県由利本荘市にある道の駅“ほっといん鳥海”に売られています。なかなか買いに行くことが難しくても通販で買うことができます。

パック詰めされていますが、空けてみると個包装されていることが分かります。3個300円と価格がお手頃ですね。

松皮餅を食べてみました。松の匂いが感じられますが思ったほどのクセはなく美味しく食べられます。松の香りが好きな人なら普通の大福より甘さ控えめで良いかもしれないです。表面にうっすら見えるのが松の繊維です。

皮が硬いという場合は加熱すると柔らかくなって美味しいですよ。私は電子レンジで少し温めました。

さて、今回はひな祭りにまつわる食材ということですが、松皮餅とひな祭りにどんな関係があるのでしょうか?

実は、松皮餅はひなまつりでおなじみの三食餅の1種として使われているようです。白大福、よもぎ餅、松皮餅が使われているので桜餅の代わりですね。確かに、三つを横並びにすると並べ方をすると趣が出てきますね。

あなたも、いままで何気なく食べていたものにどんな由来があるのか調べたくなってきませんか? もしかしたらあっと驚く由来や変わった食べ方に出会えるチャンスかもしれないですよ。

参考サイト:
松皮餅(まつかわもち) | あきた元気ムラ!秋田県のがんばる農山漁村集落応援サイト
今に伝わる戦国時代の非常食!松の皮から作った秋田の郷土菓子「松皮餅」とは – サライ.jp
道の駅 清水の里・鳥海郷/直売所ほっといん鳥海 通信販売