茨城県水戸市出身のたべぷろ編集部員・原みりかです。茨城県は「魅力度ランキング」が最下位と言われていますが、納豆が有名だということは、だれもが知っていることでしょう。今回は、納豆の美味しい食べ方をご紹介したいと思います。

今はとっても貴重!なつかしのわら納豆とは?

昔、納豆は藁(わら)に入って販売されていました。子供の頃、自転車のかごいっぱいに納豆を積んで、「納豆屋さん」が自宅まで売りに来ていました。

各家庭でも、わら納豆を作ることがあり、蒸した大豆をわらで包み、毛布を掛けたわら納豆がこたつの中に居ました。一定の温度で温かい環境を作り出すことができるこたつは、納豆菌の活性化を促すためにちょうど良い環境だったのです。

時代とともに、わら納豆は少なくなり、白いパック入りが主流になっています。ですが、今でもわら納豆は生産されており、一部のスーパーや茨城県のお土産屋さんで買うことができます。

納豆の食べ方は、ほとんどの家庭で「パックごと食卓に並べ、調味して食べる」のが一般的ですね。昔は、わら納豆だったため、一度どんぶりに納豆をあけ、一家の長である父親がかき混ぜ、順番に自分のご飯の上にかけていました。

基本の納豆の食べ方

シンプルな食材ゆえに各自こだわりの食べ方があるのではないでしょうか。

しょうゆやたれ、からし、薬味のネギが一般的ですね。他には大根おろし、大葉、ミョウガ、海苔、生姜やニンニクを入れる人もいます。シンプルな食材なので何を入れても合いますが、特におすすめは生卵です。卵を入れることでまろやかになり、納豆が苦手な方でも食べやすくなります。

基本の食べ方の手順

  1. そのまま納豆を混ぜる。
  2. 醤油(だし)を入れる。
  3. さらに納豆を混ぜる。
  4. 好みで薬味と辛子を入れる。

納豆をかき混ぜる回数は?納豆を愛した魯山人のこだわり

納豆を食べるとき、話題になるのが「何回かきまぜるか?」があります。科学的に調べたデータの結果をテレビ等で紹介されたりもしていますが、まぜる回数には個人の好みもあると思います。

まぜることで、糸が引き、粒がだんだんペースト状になり、粘りに変化が現れます。食感も美味しく食べる要素なので、自分の好みのまぜ方を見つけて食すことが一番です。

北大路魯山人は、絵画や陶芸など幅広い芸術分野において功績を残した芸術家で、現在でも数多くのアーティストに影響を与え続けています。人気グルメ漫画の登場人物のモデルにもなった美食家です。

昭和7年9月に発売された雑誌の中で、「納豆の茶漬け」を執筆し、納豆の拵(こしら)え方は「究極の納豆の食し方」として記されています。ここでいう納豆の拵え方とは、ねり方のことです。魯山人は、雑誌の中で納豆をしっかりかき混ぜることをお勧めしているのです。

参考元: 納豆の茶漬け(青空文庫)

魯山人流の食べ方はまぜる回数がカギ!424回まぜる理由とは?

  1. 納豆はまぜるのではなく「練る」
  2. 納豆を器に出して、何も加えずに箸でよくねりまぜて糸を出し、硬くなるまでねり上げる
  3. 次に醤油を数滴加えてまた練り込む これを繰り返す
  4. 最後に和芥子(からし)を加えてさらに練る

これが魯山人こだわりの納豆のまぜ方です。すごい回数ねり上げるので、手がかなり痛くなってしまいますね。

その魯山人の究極の食べ方を再現しようと、タカラトミーアーツが開発した「魯山人納豆鉢」が発売されました。まぜる回数をカウントして、醤油を入れるタイミングと食べごろを知らせてくれるすぐれものの「クッキングトイ」です。

【納豆を、深めの鉢に移してかきまぜること305回、さらに醤油を加え119回。計424回まぜることでうま味が増加、ふわふわの泡に包まれた濃厚な味わいの納豆を食する】

このクッキングトイの納豆鉢はみごとに、北大路魯山人流の食べ方が再現できるのです。

しかし、雑誌の中で紹介した”納豆の拵え方”には、先の手順は記されているものの、まぜる回数は明記されていません。北大路魯山人の場合は「納豆は不精をせず、手間を惜しまず、極力ねりかえして食べるべきもの」と、より納豆愛が感じられる表現をしています。

あくまでも、クッキングトイのまぜる回数は、魯山人の教えをもとに検証したものです。424回という数字は、魯山人の執筆した文を参考に、後に研究によって後付けされたものなのです。

まぜることで、納豆がまろやかになり、旨みや甘味がより感じられるようになります。なかなか自分で、424回もまぜることは大変ですが、美味しくなるのであれば試す価値があるかもしれません。

地元に伝わる糸引き納豆をアレンジした「そぼろ納豆」

昔から食されてきたそぼろ納豆は、納豆に切干大根を合わせ、醤油ベースのたれに付け込んだ、水戸のソウルフードです。納豆と切干大根の違った食感が一緒に楽しめ、味がついているのでそのまま食べることができます。ねばりが少ないので、納豆が苦手な方も気軽に食べることができます。

アレンジとして、ねぎ・ごまなどを加えたり、そのままお茶をかけてお茶漬けにしても美味しいです。スーパーなどで、糸引き納豆と一緒に売り場に並んでいるので、ぜひ一度食べてみてください。

ちなみに1月10日は「糸引き納豆の日」だってご存知でしたか? 2011年(平成23年)に全国納豆協同組合連合会が制定しました。「い(一)と(十)」の語呂合わせと、1月は受験の時期にあたるため、糸引き納豆の特徴であるその粘り強さで合格を祈念するという意味も込められています。

まとめ

さあ!みなさんは何回かきまぜた納豆がお好みですか? 424回試してみて、自分好みをみつけてみるのも楽しいかもしれません。水戸っ子の筆者は、軽く10回ほどまぜるだけで、あっさり食べるのが好きです。

シンプルで身近にある食材ゆえに、みなさんこだわりの食べ方があるのではないでしょうか。今では全国の人に愛され、栄養が高い食品として食べられています。納豆は手軽に購入できて優れた食品なので積極的に摂りたいですね。私たちの美容と健康生活に、大いに力を発揮してくれる納豆をより美味しく食べましょう。