ホルモンを出す店は数あれど、どの個体のホルモンかまで納得して食べられる店は数少ない。安心感あるホルモンを、新感覚の提供方法で楽しませてくれるのが、大阪の西中島にある「豊後牛ホルモンこだわり米 匠」。おいしさと驚きのある名物料理を提案し、人気急上昇中である。

名物「炙りホルモン」はタジン鍋風特注陶器で登場

同店の運営は、西中島を拠点に業態の異なる焼肉店4店舗と精肉店、バーベキューデリバリー事業を展開する「匠」。2016年、グループ初のホルモン主体の店としてオープンし、順調に業績を伸ばしている。

同社では、生産者と協力し、大分県で自社牧場を設立。グループ各店では、そこから出荷される豊後牛を使用している。ホルモンには個体識別番号が表示されないが、大分県畜産公社の協力により、その個体のホルモンと確定できるスタイルでの仕入れを実現。ホルモンのトレーサビリティーを構築し、安心感と特別感ある商品提供を行っている。

炙りホルモン 745円(税込み) 立ち上る蒸気に期待感もアップ

名物の「炙りホルモン」は、タジン鍋風の特注陶器で登場。アツアツに加熱された皿に水を注ぐと、一瞬で沸騰し、蓋の穴から蒸気が立ち上る。蒸された小腸をタレに付けて、炭火でさっと炙ればOKだ。実は、容器内の小腸は、あらかじめセイロで蒸して火を通したもの。テーブルでのサービスは、“蒸したホルモン”と実感してもらうための演出という。

「豊後牛は、オレイン酸が豊富でホルモンもおいしい。しかし、『焼き加減が分からない』という人が多く、うまい脂を落とし過ぎず、弾けるような食感をと、蒸すスタイルを考案しました。蒸気を上げるエンタメ性もプラスした、五感に訴える商品です」と、同社統括マネージャー・吉田昌史さん。

驚愕の炙りユッケ 637円(税込み) 肉にタレをまとった黄身をオン。包んで食べれば、口中でユッケ風味に

また、炙りホルモン同様に客のほぼ100%がオーダーする看板メニューが、豊後牛のサーロインまたはリブロースの薄切りをバーナーで炙る「驚愕の炙りユッケ」や、オリジナルブレンドのコメを釜で炊く「銀シャリ」(421円・税込み)。いずれも、記憶に残る集客力が高いメニューである。

「1店舗で1頭使用」目指す

同社牧場では、現在約180頭を飼育しているが、移転・拡充を計画中で、将来は約500頭の飼育を見込んでいる。今後の増産を見越して目指すのが、「1店舗で1頭使用」のビジネスモデル。その先駆けとして、“タレ焼肉”と多彩な冷麺を楽しむ新店舗を開店予定で、グループ最安値の価格帯で挑戦するという。

「豊後牛を増やすには、生産者を守ることが大切。当社では、一般よりも高値で買い取り、自社加工やメニュー開発などの努力で価格を抑えた提供を心掛けています。生産者にもお客さまにもメリットある経営で、黒毛和牛を気軽に楽しめる店づくりを目指したい」。今後の発展にも注目である。

女性も利用しやすい清潔感ある店内

●店舗情報
「豊後牛ホルモンこだわり米 匠」
経営=匠
店舗所在地=大阪府大阪市淀川区西中島4-8-30 サンライズビル1階
開業=2016年6月
席数=40席
営業時間=18時~翌3時。不定休
平均客単価=4500円
1日集客数=50~90人
客層=会社員、男女比6対4

◇外食レストラン新聞の2018年1月1日号の記事を転載しました。