日本の飲酒シーンに新たに出現した「ちょい飲み」文化。今や居酒屋だけでなくさまざまな業態が、“ライトに飲める場”としての新たな価値を打ち出し、進化している。今回は、ライトに飲める魅力がありながら、同時に「酒の魅力を発信する」という姿勢にも重きを置く、酒販の直営ちょい飲み店事例を紹介する。

日本のワイン文化を豊かにするためのBAR

ワインショップ・エノテカ GINZA SIX店は、17年4月にオープンした銀座エリア最大規模の商業施設「GINZA SIX」の中に位置し、ワイン専門店「エノテカ」の旗艦店として、ワインの魅力を発信するべく誕生した、販売ショップ併設のバー業態だ。高級銘柄も扱うワイン専門店のエノテカらしい上品でシックな雰囲気ながらも、誰でも気軽にワインが楽しめそうな店である。

グラスワインは540円、1,080円、1,620円(各税込み)と、三つの価格帯を用意。ボトル価格でそれぞれ3,500円程度、6,000~8,000円前後、1万円程度の銘柄の中から、週替わりで提供している

籾山香奈子副店長いわく、「エノテカの中でも当店はカジュアル志向で、ワイン初心者にこそぜひ利用していただきたい。当店をきっかけにワインを身近なものに感じてもらえれば、と考えています」。

そんなコンセプトから、毎週、銘柄を変えたグラスワインを、赤、白、ロゼ、スパークリングの各種540円から、1080円、1620円と取り揃えている。また、併設の販売ショップで購入したボトルワインを持ち込むことが可能なのも魅力だ(抜栓料1080円税込み。平日19時まで無料)。ワイン初心者から、お目当ての銘柄をじっくり味わいたいワイン通まで、さまざまな楽しみ方ができる。

料理メニューは、単にワインに合うだけではなく、「“キレのある白”“重めの赤”など、ベストマッチの銘柄がはっきりとイメージできる食材、料理のみを採用している」とか。「『この料理に合うワインは?』と、スタッフにぜひ尋ねてください。ぴったりの銘柄をご提案します」と、籾山副店長は言う。

メニューは、「ワインに合うもの」を基準に考案。ワインを引き立てる食材を吟味し、採用している。写真は「ソーセージ2種類(972円・税込み)」と「パテ・ド・カンパーニュ(972円・税込み)」

同店は、女性2人連れ客やワイン好きのグループ客に人気が高く、シニア夫婦が昼下がりに訪れる例なども目立つ。グラスワインを2杯程度、軽く楽しむお客が多いようで、「外国人のお客さまが席には座らずにグラスワインをクイッと立ち飲みし、気分一新されたご様子で帰られる光景もよく見られます」と、籾山副店長。同店から日本でも、こうした粋なワインの立ち飲みスタイルが浸透するかもしれない。

「当店を通じて、ワインの多彩な楽しみと魅力を知っていただきたい」(籾山副店長)という思いが前面に表れた、ちょい飲み店というわけだ。

ランチBセット 1,404円(税込み)
スープ、パン、シャルキュトリ(加工肉)2種類、グラスワイン(70ml)のランチセット。ランチはリピーター客が多く、「他店のワイン付きランチと比べると、意外とリーズナブル」と好評のようだ

●ワインショップ・エノテカ GINZA SIX店
所在地=東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX 地下2階
営業時間=10:30~20:30
席数=28席
ちょい飲み平均客単価/1,100円

◇外食レストラン新聞の2017年10月2日号の記事を転載しました。