“元祖”冷やし天丼、画期的なジュレで衣はサックサクのまま
ここ数年、暑い時季になると、冷やしラーメンや冷やしカレーなど“冷やし”メニューが人気だ。テレビや雑誌などのメディアでも、食欲の落ちる夏場にお薦めのメニューとして特集する。「串天ぷら 段々屋」では、すでに9年前に冷やしメニューに注目し、夏季限定メニューとして「冷やし天丼」を開発。メディアで紹介されるにつれて、類似メニューも見られるようになったが、“元祖”冷やし天丼はやっぱり強い。
食べ方も2段階で楽しめるように
揚げ物をメーンとした店だと、夏場はどうしても売上げが落ちる。その対策として考案されたのが「冷やし天丼」だが、当初は炊きたてのご飯を氷で締めて、揚げたての天ぷらをのせ、そこに冷たいだし汁をかけたものだった。
「単なる思いつきだったので、今思うとメニューとしての完成度は低い。だし汁をかけるだけだと、天茶のようになり、夏場に食欲をそそるような仕上がりではなかったですね」と語るのは小林祐介店長。
そこで改良が重ねられた。画期的な改良点が、だし汁をジュレにしたこと。ジュレなら天ぷらの衣がしんなりせず、揚げたてのサックサクの食感が楽しめる。さらに、ジュレなら見た目の清涼感も満点だ。
だし汁をジュレにする発想はすぐに生まれたが、問題はだし汁とゼラチンの割合。ゼラチンが多すぎると固くなりすぎ、少ないと固まらない。試行錯誤の末、ちょうど良いあんばいのプルプル状に固まり、口の中で溶ける絶妙の配合を割り出した。
ライスにも改良が加えられ、ただの白飯から刻みミョウガを混ぜ込んだものにバージョンアップ。「最初は酢飯と刻みガリも考えたんですが、酸っぱいものと天ぷらはどうも味が合わなくて、ミョウガにしました。夏が旬のミョウガは、夏季限定のこのメニューにぴったりですし……」と小林店長。
食べ方もジュレで途中まで食べたら、冷たいだし汁をかけるといった2段階で楽しめるようにした。
最後に盛り付け。ジュレを手前に盛るのが鉄則。「店のスタッフには、『どんなに忙しくても盛り付けは手を抜くな』と言っています。SNSにアップされる写真の影響は大きいですから」と、盛り付けまで考え抜かれてこそ、集客力のあるメニューになる。「冷やし天丼」はランチの約3分の1の注文を占め、夏場の売上げ増に貢献大だ。
●店舗情報
「串天ぷら 段々屋」
所在地=東京都新宿区西新宿1-14-2
開業=2007年2月
営業時間=昼:月~土 午前11時30分~午後2時30分、夜:月・火・土 午後5時30分~11時(LO10時30分)、水・木・金 午後5時30分~翌午前0時(LO11時)、日 午後5時30分~10時(LO9時30分)、不定休
坪数・席数=1フロア12坪×4フロア、86席
1日平均客数=昼約120人、夜約100人/平均客単価=昼約840円 夜約4000円
◇日食外食レストラン新聞の2017年9月4日号の記事を転載しました。
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