炊きたてご飯の上にハンバーグをのせるタイプの店が急増しているが、同じ「ハンバーグ・オン・ザ・ライス」でもまるで違う魅力を放っているのが「麻布笄軒 中目黒店」の「オムリバーグ」だ。中身は「オムライス&ハンバーグ」だが、オムレツを上に盛り付けるひと工夫で、おなじみのオムバーグともまた違うどこかユーモラスな一皿に仕上がっている。

「とろとろ玉子のオムリバーグ」は昨年、店のメニューを撮影してSNSでアップするフォトコンテスト企画を開催した際に誕生した一品だ。企画のための特別メニューで、当初レギュラーメニュー化は予定していなかったという。しかし、SNSを見て同品目当てに来店するお客が多く、「裏メニューで出していましたが、1日10食は注文があった」と、高嶋健司副料理長。この人気を受け、昨年7月に正式にメニュー化した。

高嶋副料理長はもともとオムレツが得意で、「以前から半熟オムレツとハンバーグを使った名物料理ができないか、と考えていた」と言う。初めに考案したのが、チキンライスの上にオムレツを広げ、その上にハンバーグをのせた一皿。つまり「ハンバーグ・オン・ザ・オムライス」というわけだが、このセットは洋食店などでは既に一般的で目新しさに欠ける。

そこでオムレツとハンバーグを逆にしたところ、見た目の魅力もインパクトも一気にアップした。「正直、手間はかなりかかります」と、高嶋副料理長は苦笑するが、盛り付けを逆にしただけのひと工夫でこの楽しげなビジュアルが完成したのはあっぱれだ。

オムライスにソースをかけている様子

オムレツは卵約3個を使用し、ハンバーグは通常の一品料理と同じ約180g。チキンライスの下にはチーズソースが敷いてあり、お客自らがオムレツをナイフで広げ、上からデミグラスソースをかける趣向だ。オムライス&ハンバーグのおなじみの組み合わせだが、“とろりオムレツ+ハンバーグ”“ハンバーグ+チキンライス+チーズソース”という層で口中に入ると、印象がまた変わる。

ご飯にハンバーグを乗せている様子

オムレツはどんな料理にも合わせやすく、味わいをまろやかにしてくれる。食べ応えも増し、鮮やかな黄色とふっくらとしたビジュアルの力も申し分ない。既存メニューにオムレツをプラスするだけでも、魅力的な名物料理が完成するだろう。同品はその好例というわけだ。

店の外観

●店舗情報
「麻布笄軒(あざぶこうがいけん) 中目黒店」
所在地=東京都目黒区上目黒1-8-29/開業=2020年11月/席数=21席/営業時間=11時30分~15時、17時~22時。不定休/平均客単価=2500円/1日平均集客数=平日70人、休日110人

◇外食レストラン新聞の2022年12月5日号の記事を転載しました。