韓国グルメは依然として人気が高い。パンチの利いたウマ辛料理やびよ~んと伸びるチーズ、遊び心あるスイーツなど、創作アジアンフード特有のパワフルな魅力が支持される理由か。「韓国料理 ホンデポチャ」の「スパム玉子フライ」は、そんな韓国グルメの中では、一見すると少し地味な部類に入るメニューかもしれない。

「スパム玉子フライ」は、スパムと目玉焼きをドッキングさせた、何てことのないベーコンエッグならぬスパムエッグだ。しかし、よくよく見ると、不思議とアジアンフードらしいパワフルな魅力を放っている。

スパム玉子フライ
「スパム玉子フライ」 1078円(税込み)目玉焼きの白身部分にスパムを配置するだけで、ユーモラスな世界観が形成される

「スパム+目玉焼き」は、韓国の学生がちょっと小腹が減ったときに自分で調理して食べる定番の簡便料理で、ソウルフードのような存在という。同じような組み合わせのベーコンエッグやハムエッグが店で出てもそこまでうれしくないが、同品はどこか韓国の香りがし、特別感さえ感じられるのが面白い。

同品がそこはかとなく韓国グルメらしいパワーを漂わせているのは、実はこの盛り付けも影響している。目玉焼きが4個連なっており、白身部分を埋めるかのようにスパムの薄切りをデコレーション。ただそれだけの盛り付けだが、B級グルメの独特の世界観を見事に形成している。卵黄、白身、スパムのコントラストも何だかユーモラスで、「何てことがないけど絶対においしい」と、その味わいが想像できる点もいい。

エビチーズフォンデュ
「エビチーズフォンデュ」 2~3人前2480円(税抜き)同店の看板メニュー。エビにびよーんと伸びるチーズを絡めて食べる、パワーあふれる韓流グルメだ

王道の韓国料理や女子中高生に大人気の韓流ストリートフードとはまるで異なる方向性だが、どこかユーモラスにして不思議なパワーがあるという、韓国グルメのもう一つの決定版といえる一品だ。

●店舗情報
「韓国料理 ホンデポチャ 新大久保本店」
所在地=東京都新宿区百人町1-3-1東方ビル1階

◇外食レストラン新聞の2022年4月4日号の記事を転載しました。