大阪・北新地は、コロナ禍で大打撃を受けた歓楽街の一つ。その逆風の中、2020年10月にオープンしたのが、その名も魅力的な「太らん」だ。多彩な雑炊と茶碗蒸しを用意し、夜中に食べても太りにくい食事を提案して女性ファンを増やしている。人出の復活を願いつつ、異彩を放つコンセプトで奮闘する同店の人気メニューを取材した。

「雑炊と茶碗蒸しを一緒に楽しめる専門店はどこにもない。オンリーワンの競合しない店を目指した」と、加藤高茂店主。雑炊と茶碗蒸しに着目したのは、自身の健康と食生活を見直したことがきっかけ。飲んだ後の“締め”に、健康的でカロリーを抑えた食事を提供したいとメニューを考案し、店名でアピール。「ライバルはラーメン店」(加藤店主)だ。

味の基本になるだしには、鰹節と鯖節、厳選した高級昆布を使用。このだしに、茶碗蒸し用には塩や少量の薄口醤油など、雑炊用には砕いたイリコでとるだしや鶏のエキス、濃口醤油などを加えてアレンジ。それぞれにマッチした2種類のだしを考案して活用している。

茶碗蒸しはプレーン(鶏、ギンナン、かまぼこ入り)400円~。プレーンにさまざまな具材をプラスできる構成で20種類以上を用意し、チーズやマヨネーズ入りなどのユニークな味も楽しめる。小ぶりな器で軽く食べられるので、複数の種類に挑戦できるのも魅力だ。

雑炊1食には、麦飯と白米各50gを使用。麦飯を多量に配合することで、より低糖質で全体的にさらりとした口当たりを実現している。こちらは、プレーン(鶏、白菜、ニンジン入り)850円~で40種類以上を用意する充実の品揃えだ。

九条ネギがたっぷり入った、好評の「カレー豚ねぎぞうすい」1300円。具材は豚ばら肉、白菜、ニンジン

人気の「カレーぞうすい」は、「カレーが勝ち過ぎず、とろみも出し過ぎないように研究した」というメニュー。雑炊用のだしではなく基本のだしを使用し、独自に調合したカレーパウダーとペーストで味付けをする、工夫を凝らした一品だ。

一軒目使いから飲んだ後まで、さまざまな場面で利用できる店を目指し、手作りの「本日のおばんざい」など一品料理も手頃な価格で用意。3ヵ月間有効の「茶碗蒸し定期券」も販売し、気軽な来店を促している。「コロナに翻弄された船出だったが、一から始めるつもりで頑張りたい」と、加藤店主は意欲を語る。

●店舗情報
「太らん」 所在地=大阪市北区曽根崎新地1-3-30 岩村ビル1階/開業=2020年10月/坪数・席数=8.5坪・10席/営業時間=18時30分~翌3時(土曜は2時)。日曜・祝日休/平均客単価=2500円

◇日本食糧新聞の2022年1月号の記事を転載しました。