宮崎県発祥のチキン南蛮は、今や全国に浸透した人気料理。このメニューを取り入れている飲食店は多いが、専門店として多彩なタルタルソースと鶏肉のマッチングを追求するのが、大阪の「チキン南蛮のお店」だ。オープン以来、多数のメディアに取り上げられるとともに人気も上昇。常連客をつかみつつ、新規の来店者数も伸ばしている。

「ここは、もともと貸し切りパーティー用の店。空いている昼間を活用したいと模索しました」と、経営するCOLOR代表の山下貴幸さん。そこで「自分が好きなチキン南蛮に特化したい」と、大阪では珍しい専門店を開店。元フレンチシェフの玉城信仁料理長が監修し、さまざまなタルタルソースで食べる斬新なチキン南蛮を考案した。

2018年オープンの同店は、ランチタイムだけ営業する店。「店名=メニュー」というダイレクトな訴求力で、多くのチキン南蛮ファンを獲得している

同店のチキン南蛮は、鶏のもも肉を1人前150g使用。ショウガやニンニク、醤油、みりんで下味を付け、小麦粉と片栗粉をミックスした粉をまぶして二度揚げする。甘酢の南蛮ダレは、絡めるのが一般的だが、同店はかけるスタイル。鶏肉と南蛮ダレ、タルタルソースを調和させるための工夫が感じられる。

メニューは全9種類で、一番人気は、オーソドックスなタルタルソースで提供する「自家製タルタルのチキン南蛮」(950円)。ソースは、大阪・富田林産「匠のたまご」を使用し、刻んだ玉ネギとマヨネーズのみで作る。塩やコショウは使わず、味が濃い卵の魅力を生かしたこだわりのソースだ。

このソースをベースに、ユニークなタルタルソースを開発。見た目も爽やかな「みどりの野菜タルタル」は、タルタルソースに大葉や自家製ピクルス、ホウレンソウのペーストなどをプラスして、さっぱりした味わいに調味。味のアクセントとして、南蛮ダレにワサビを加えているのも特徴だ。

「麻辣タルタル」は、自家製の肉味噌やラー油などで作る麻辣調味料とタルタルソースを絶妙に配合。激辛好きに好評の人気メニューとなっている。また、「お好み焼き風チキン南蛮」は、今年の2月に発売した新メニュー。別添えのタルタルソースには、キャベツや昆布だしが入っており、“お好み焼き感”にこだわった仕上がりだ。

テイクアウトや宅配も好調で、タルタルソースやソースをふりかけに加工した商品の通販にも取り組んでいる。「チキン南蛮は万人が好きな食べ物で、もっと広がりがあるはず。従来の味と戦うのではなく、互いに頑張って盛り上げていけたら」と山下さんは話す。

●店舗情報
「チキン南蛮のお店」
経営=COLOR/店舗所在地=大阪市北区大淀南1-11-5 IDビル地下1階/開業=2018年11月/坪数・席数=約40坪・26席/営業時間=11時~14時30分。土・日・祝休/平均客単価=1000円/1日平均集客数=100人

◇外食レストラン新聞の2021年6月7日号の記事を転載しました。