ロングセラーブランドとして地位を確立し、継続して成長するためには、ブランドを支えてきた顧客の満足度を向上させながら、新規顧客を獲得する必要がある。こうした取組みに成功したのが、1977年に発売し今年40周年を迎えるロッテの「ビックリマンチョコ」を担当する同社マーケティング統括部ブランド戦略部チョコ・ビス企画室の本原正明氏だ。「ビックリマンチョコ」は16年度もさまざまな話題を喚起し、高い成長を遂げた。
本原氏がマーケッターとして最高傑作と自負するのが6月6日に発売した国民的アイドルグループ「AKB48グループ」とのコラボレーション商品「AKBックリマンチョコ〈チームEAST〉〈チームWEST〉」だ。本原氏に開発の狙いなどを聞いた。

上位3人のメンバーをホログラムシールにしてプレゼント

–開発の経緯を教えてください

本原 「AKBックリマンチョコ」の開発は、主にライトユーザーのさらなる獲得を目指してのものです。これまで、ライトユーザーの「ビックリマンチョコ」認知度を高めるために、今話題のアニメやゲームなどとのコラボレーションを行ってきましたが、16年6月に発売した「よしもとビックリマン芸人チョコ」で「気づき」がありました。それは、若年層にとって「芸人」が、身近な存在であり、「芸人」の宣伝を媒介にして「ビックリマンチョコ」にエントリーするというライトユーザーの現象が一部見られることです。

若年層にも身近な存在でありながら国民的な人気を誇るコンテンツを考えた時に、最初に浮かんだのが「AKB48」グループでした。昨年のAKB48総選挙のころから動き始めましたが、その時から、コラボ企画を行うなら、世の中の注目を集められるAKB48グループの総選挙と決めていました。商品を実現するための、ハードルが高く過去最高レベルでした。

さまざまな関係者にご協力をいただきながら、「一緒に2017年AKB48総選挙タイミングで世の中に大きな話題性をつくりましょう!」という共通の目的を持てたことが、コラボレーション実現につながった大きな理由です。担当として約1年間熱意をもって準備に取り組んできた成果が商品化へとつながって本当にうれしいです。

最高傑作を手にする本原正明氏

–企画の特徴を教えてください

本原 商品としての「強さ」に加え、プロモーションに注力したことです。AKBグループの活動の中でも一大イベントである「AKB48総選挙」を軸にさまざまな仕掛けをリンクさせ展開します。具体的には、17日に沖縄県で行われるAKB48総選挙の翌日の18日から、AKB48総選挙上位3人のメンバーをホログラムシールにしてプレゼントするキャンペーンを展開します。

予想が不可能な「キャンペーン賞品」を提示することでリアルタイムでの楽しみという価値を付加しました。一方、「ビックリマンチョコ」ファンには、待望のホログラムシール復活は大きなニュースとなります。

また、「AKB48 49thシングル選抜総選挙」公式ホームページでも「ビックリマン」のキャラクターがレアな確率で登場するなどの仕掛けを施しました。さらに、AKB48総選挙限定、劇場限定の商品をAKB48総選挙会場と全国の5ヵ所の劇場で限定販売します。

ここでしか買えないという価値は「ビックリマンチョコ」「AKB」グループ両方ファンに喜んでいただけると思います。こうした仕掛けにより、「ビックリマンチョコ」で総選挙を軸に盛り上げられると確信しています。

商品は2016年度実施されたAKB48総選挙「選抜メンバー」の結果を基に「選抜メンバー」から「アップカミングガールズ」までのメンバーが2チームに分かれてシールに登場します。

シールの絵柄は、〈チームEAST〉〈チームWEST〉それぞれ全30種類を用意し、〈チームEAST〉はAKB48・NGT48メンバー、〈チームWEST〉はSKE48・NMB48・HKT48メンバーで構成しました。シールのデザインは、ビックリマンイラストレーターがイラストに描き下ろしました。〈チームEAST〉は東日本(静岡含む)で、〈チームWEST〉は西日本でそれぞれ6日から先行発売しました。

◇日本食糧新聞の2017年6月16日号の記事を転載しました。