お茶菓子としていただく札幌銘菓「月寒あんぱん」
北海道札幌市在住(といっても最近に引っ越してきたばかりなのですが)のたべぷろ編集部員・空居済名です。
とはいうものの、右も左も分からないで札幌に来たわけではなく、道産子で札幌育ちの知人のツテがありますので、今回はその知人に教わった「月寒(つきさむ)あんぱん」の食べ方をご紹介します。
札幌ローカルあんぱん
まずはあんぱんの歴史のおさらいからいきましょう。
これは有名な話ですね。現在も銀座に軒を連ねる老舗「木村屋」が、日本人の好みにマッチする、あんこの入った「パン」を新たに開発すべく、試行錯誤の末、あんに負けることのない独特の「皮」を焼き上げることに成功して、そこに桜の花びらの塩漬けを載せ、明治天皇に献上した、というあのお話です。
なんですが、今回紹介するのはキムラヤのあんぱんではなく、ほんま(という会社で作っています)の「月寒(つきさむ)あんぱん」です。両者の間には関係があるような、ないような、まあどちらもあんぱんですからないわけはないんですけど、月寒あんぱんとは何か。
月寒あんぱんは、キムラヤの成功を聞いた北海道の菓子商が、「東京でキムラヤというところが、餡を入れたパンなるものを作ったらしい。よし、うちでも一丁それを作ってみるか」というので作ってみたもの、だと言われています。
ただし、これはありがちなコピー品にはなりませんでした。なぜなら、その菓子商は、本物のキムラヤのあんぱんを見たことさえもないまま、想像だけで独自の「あんぱん」を作ったからです。そういうわけで出来上がったものが、この、「・・・これがあんぱん?月餅とか、饅頭ではなくて?」という佇まいの、何ともいわく言い難い代物です。
月寒あんぱんを食べよう
というわけで、食べます。食べ方です。
あんぱんの食べ方といったら「あんぱんと牛乳」が刑事の張り込みの定番であるという話がありますが(本職の警察の方が本当にやっているのかどうかは定かでないですけど)、これでやっても多分絵にならないでしょう。
どう考えても、これは、お茶です。お茶でいただかないといけません。というわけで、日本人なら急須で日本茶です。
急須で茶を入れたにしてはおかしいものが何か写っているように見えるかもしれませんが気にしないでください。
とにかく、お茶です。お茶請けとして食べるのです。
ちなみに、袋に書いてある商品説明を見ると、パンではなくて「半生菓子」というカテゴライズになっています。やっぱり菓子じゃないですかこれ。実際、皮が薄く、パンっぽさはほとんどありません。月餅ほどみっしりはしてないですけど、どう考えてもこれは饅頭的な何かだと思います。最後に濃いお茶が一杯怖い。おあとがよろしいようで。
ところで、月寒あんぱんを作っているほんまは、明治39年創業だそうです。明治44年に、月寒(地名)から平岸というところへ作られた道路は、工事に際しこの月寒あんぱんが配給されたといい、今も「あんぱん道路」の名で呼ばれていると言います。
札幌では古くから愛されている、月寒あんぱん。あんぱんという名前にしては意外ですが、お茶の時間の友なのです。
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