パン屋さんめぐりを楽しむ人のコミュニティ『パンめぐ』(運営:株式会社エムスリー・カンパニー)は“パン番付2018”を発表しました。「パン番付2018」とは、「パンめぐ」コミュニティの「パンめぐりスト(パン愛好家)」が、2018年に流行ったパンやパンのある生活を豊かに楽しくしてくれた商品や象徴的な出来事を格付けするパンのヒット商品番付です。パンに精通した「パンめぐりスト」ならではのパン界隈の情報を発表します。

今年の決まり手は“パンターテイメント”

今回のパン番付は、横綱に「高級生食パンブーム」「インパクトのあるお店続々オープン」が選出。他にも「パンイベント増加」「パンのお供増加」などが選ばれました。パンは「食べる」ということから、パン巡りというレジャーになり「パンターテイメント(パンを楽しむ)」に変化していきました。

【東横綱】高級生食パンブーム

高級生食パンブームの火つけ役の「乃が美」は、創業5年で現在日本全国に110店舗を展開。2018年11月15日に港区・麻布十番に東京初の店舗をオープンしました。1本800円の「生」食パンは、一日に5万本以上売られています。

乃が美 麻布十番店(出所:同社公式Webサイト)

他にも食パン専門店が次々に誕生し、全国にチェーン展開する「焼きたて食パン専門店 一本堂」は、2018月10月で110店舗を超す勢いです。

銀座の「セントル ザ・ベーカリー」の商品は、国産小麦の「角食パン」、輸入小麦の「プルマン」、山型の「イギリスパン」の3種類。1日に約1200本以上を売り上げ、連日店の前には行列ができています。

「セントル ザ・ベーカリー」にできた行列

今年はテレビや新聞などでも高級食パン特集が組まれ、「プチ贅沢」「手土産」として多くのメディアでも取り上げられました。

【西横綱】インパクトのあるお店 続々オープン

「でぶぱん」「考えた人すごいわ」「70歳パン工場」などお店の名前にインパクトのあるベーカリーが2018年は続々とオープンしました。

でぶぱん(出所:同社公式Webサイト)

2018年6月にオープンした、北海道にあるコッペパン専門店「でぶぱん」は、日本最大級のコッペパンのサンドイッチを提供するコッペパン専門店。オープン後は連日行列となり、「ガイアの夜明け」(テレビ東京)でも取り上げられるなど話題になっています。

考えた人すごいわ(出所:同社公式Webサイト)

こうしたインパクトのある店名がSNSなど話題になりました。オープン初日から行列のできる店になり、客足は今も引きを切らない盛況ぶりとなっています。

【東大関】地方の有名ベーカリー 東京に進出

こだわりぬいた完全無添加最上級食パンを販売する「Panya芦屋」は16年9月に関西の高級住宅街で知られる兵庫県芦屋市にオープン。17年11月に世田谷区の駒沢にオープンし、東京初進出を果たしました。

その後18年5月に「尾山台店」、8月には「玉川高島屋S・C店」と、立て続けに出店しており、どの店舗も高級食パンを求めて連日行列ができています。さらに名古屋で名店として知られ、多くのファンが集うベーカリー「バゲット ラビット」が、2018年2月に東京・自由が丘にオープンしました。

「バケット ラビット」の4種類のバケット

【西大関】パンのフェス増加

週末ごとにどこかでパンのイベントが開催され、大勢の人で賑わいをみせています。2018年9月15日から17日まで、横浜赤レンガ倉庫のイベント広場で開催された「パンのフェス2018秋 in 横浜赤レンガ」は、3日間で累計来場者数は13万1000人。

「パンのフェス2018秋 in 横浜赤レンガ」は、大勢の人で賑わった(パンのフェス提供)

ブースで販売されたパンの数は約800種類、18万個のパンが並んだ。百貨店の催事場でも、パンのイベントが開催されることが増えました。三越伊勢丹が、伊勢丹新宿店で「ISEPAN!」(イセパン)を開催。松阪屋や阪神百貨店など、ほかの百貨店でも開催するようになっています。

【東関脇】ブーランジェリー パティスリー トレトゥール アダチ 横浜にオープン

2016年、伊豆半島の中央部、天城にオープン以来、行列のできる人気店となり、グランプリを獲得した「ブーランジェリー パティスリー アダチ」が2018年3月17日、横浜「センター南」に移転。パンとお菓子にお総菜部門も新しく加え、「ブーランジェリー パティスリー トレトゥール アダチ」としてリニューアルオープンしました。

ブーランジェリー パティスリー トレトゥール アダチにできた行列

【西関脇】パンのお供、続々と人気

パンブームに乗ろうと、パンのおいしさが引き立つ相性のいい飲み物を売り出しています。カネカ食品(東京都港区)の「パン好きの牛乳」は、独自製法によりコクがあるのに後味がすっきりとした風味で、パンがよりおいしく感じられるように仕上がっています。

キッコーマン飲料(東京都港区)のトマト飲料「PANTO(パント)」は、パンとの相性を考えたトマト飲料を3種類展開しています。

左:パン好きの牛乳(カネカ食品) 右:PANTO(キッコーマン飲料)

【東小結】TBSドラマ「ぎぼむす」

綾瀬はるかさん主演のTBSドラマ「義母と娘のブルース」。放送回を重ねるごとに視聴率が上昇し、注目を集めました。今まではパン業界やパン愛好家の間のいわゆる食パンの業界用語、“角食”(かくしょく)がドラマのなかで使われていました。

【西小結】パン好き女優がイケメン俳優と結婚

無類のパン好きで知られる女優がイケメン俳優と結婚したことが大きな話題となりました。

【前頭一】「リベルテ」日本発上陸

パリで人気の「リベルテ・パティスリー・ブーランジェリー」が3月に吉祥寺にオープン。10月には京都に2号店をオープンしました。

【前頭二】パン飲み

パンとワインやビールとのマリアージュするパン屋さんが増加。パン屋さんとビストロやレストランがコラボしてイベントを開催しています。

【前頭三】国産小麦を使ったベーカリーが増加

「キタノカオリ」「ゆめちから」といった国産小麦を使ったパン屋さんが増えています。小麦の種類ごとにバゲットを提供するお店も登場するほど人気となりました。

【前頭四】地方でもハード系のパンが人気に

長野県の「香色」「カルパ」ではハード系のパンが人気。島根県の「ベッカライ コンディトライ ヒダカ」はドイツパンのお店。生食パンなど柔らかいパンが人気の中、人口の少ない場所でもハード系のパンが受け入れられています。

【前頭五】UBER EATSで近くの有名店のパンを宅配

人気ベーカリーの「シニフィアン・シニフィエ」のパンをオーダーできることがパン好きの間で話題になりました。

【前頭六】フルーツサンドブーム

2017年ごろから専門店がオープンしていますが、今年になってからも新しいお店がオープンしました。見た目の美しさとおいしさの両方が人気の理由で、お店の前には行列ができました。