愛媛県松山市在住のたべぷろ編集部員・藤田竜一です。生まれてこのかた20年以上を愛媛で過ごし、現在は松山に移り住んで10年になります。愛媛の中でも繁華街のある松山でさまざまなものを食し、愛媛ならではの食べ物にも触れてきました。そこで、今回は愛媛の甘めの食べ物についてご紹介。愛媛に来た人ならば一度は驚く甘めの味付けですが、その秘密は「お接待」と「麦みそ」にありました。

松山のソウルフードとも呼ばれる「アサヒ」のうどん

愛媛の味付けの傾向としてあるのは、全体的に甘めになっているという点です。愛媛の地域には今治のある東予、松山のある中予、宇和島のある南予の3つに分けられますが、南予地域の魚の煮付けには驚く量の砂糖を入れて味付けを行うほどです。甘い味付けの食べ物が多いのは、親友や大事な人をお接待するために振る舞われることが多いため。お盆やお正月には、テーブルいっぱいに甘い味付けのいなりずしやお菓子が並ぶのも特徴です。

松山でも甘い味付けにする傾向は色濃く残っており、昭和12年から現在まで続いている「アサヒ」といううどん店でも、南予地域と同じく甘い味付けになっています。当時は甘い食べ物が少なく、そうした味付けのものを増やそうという発想の元に生まれと言われています。また、アサヒだけでなく「ことり」といううどん店も近くにあり、アサヒと同じく甘めの味付けになっています。

 

愛媛が生み出した「麦みそ」も甘い

愛媛において味が甘めになっているのは、お接待の精神だけが理由ではありません。実は、愛媛はみかんだけでなく裸麦の生産量も著しく、日本でも1番となっています。その裸麦を使った「麦みそ」も一般家庭でよく使われており、この麦みそが微妙に甘い味付けになっています。

愛媛で麦みそを生産している会社といえば「ギノーみそ」です。こちらのみそには麦がふんだんに使われており、こちらのみそでみそ汁を作ると、通常のみそよりも麦が汁に残るのが特徴。朝食、夕食のどちらにも麦みそは使われており、南予地域などでは白菜などの葉野菜を入れたり、サツマイモを入れて食すことがあります。

 

麦みそを使ったうどんを食すこともあります

名古屋などにみそうどんがあるように、愛媛にも麦みそを使ったうどんが存在しています。こちらは「アサヒ」のうどんとは違い、みその微妙な甘さを楽しめる一品です。おなかの調子が悪いときや、一般家庭で鍋焼きうどんを作るのと同じ感覚で食べられます。

麦みそでベースとなるだしを作り、そこにだしの素などを入れて味付けをします。うどん以外の材料としては鶏肉やネギ、大根、人参などを入れていきます。それら以外にほうれん草や、愛媛特産の練り物やじゃこ天などを入れる家庭もあるようです。麦みそ独自の甘味がうどんと相性がよく、ペロリと食べられます。

まとめ

今回は愛媛の味付けの傾向と共に、麦みそを使った食事についてご紹介しました。愛媛の特産ともいえる麦みその絶妙な甘さは、県外の人からすれば独特でその味がクセになる人もいます。普段は使わない味噌を使って、食生活にアクセントを加えてみるのはいかがでしょうか。