長野に伝わる幻の伝統食「山餅」を再現!【レシピ付き】
「山餅」は長野県古海地区だけに伝わる郷土料理です。ネットで検索すればたいていのレシピは出てきますが「山餅」はちょっとやそっとでは見つからないかも。18、19日にインテックス大阪(大阪市住之江区)で開催された業務用展示会フードストアソリューションズフェア2020の「とくし丸料理コンテスト」コーナーで「山餅」が再現されて試食提供されました。
ふれあいクッキングチームが再現に挑む
同フェアは一般の人は入れません。しかし「山餅」を広く知っていただきたく、食品業界の専門紙・日本食糧新聞の料理チーム「ふれあいクッキング局関西支社」が再現したレシピをご紹介します。
山餅のレシピ
「山餅」がどんな料理かというと、味噌を塗った五平餅を想像してもらうと一番近いかもしれません。中にエゴマが入っており、さわやかに鼻に抜ける香りが特徴です。
【材料】3人分(1人4個)
うるち米 2合
<味噌だれ(いくさ味噌)>
エゴマ(いくさ) 20g(1/4カップ)
味噌(信州赤) 大さじ1
砂糖 大さじ1
和風だしの素 少々
長ねぎ 1/8本
【作り方】
- 米をといで炊飯器にいれ、通常の水加減で炊く。
- 山餅につける「味噌だれ」をつくる。エゴマはペーパータオルなどでさっとほこりを取り、フライパンにいれる。弱火で熱し、焦がさないようにフライパンを揺すりながら、パチパチと音がして香りがでてくるまで炒めるすり鉢に移す。エゴマをすりつぶし、味噌・砂糖・だしの素を加えてよく混ぜ合わせる。小口切りにした、長ねぎを加える。
- 炊きたてのご飯を少し粘り気がでる程度にすりこぎなどの棒でつぶす。
- (3)を1個60gくらいの小判型にし、ホットプレートで両面がきつね色になるように焼き、味噌だれを塗って再度両面を軽く焼く。
懐かしくなる「おばあちゃんの味」
買い物難民の地域などに展開する移動スーパー「とくし丸」利用者が自慢のレシピを応募するコンテスト(協賛:コカ・コーラボトラーズジャパン)が2月に開催されました。そこで大賞を取ったのが長野県の藤本さん(昭和4年生まれ)の「山餅」でした。
とくし丸の担当者は「巡回地域の高齢の方は、インターネットなどの利用をしていないなど事情があり、なかなかレシピを応募してもらえません。しかしとくし丸の販売パートナーは3日に一度伺って顔を見ているのでお客さんとの信頼度が強く、たくさんのレシピの応募がありました」と話します。
人と人のつながりで応募してもらったレシピだからこそ、ネットで検索するだけではなかなか出会えない、とっておきのものがたくさんありました。
レシピコンテストの大賞メニューを展示会で再現する、そう聞くと簡単なようですが、材料や分量、作り方が書かれた今どきのレシピではありませんでした。口伝に近い内容をメモのように書いたもので、それだけ見て作るのはなかなか難しかったのです。料理チームは、見たことも聞いたこともないメニューに悪戦苦闘しながら、再現を試みました。
こういう時の常套手段ですが、まず当該地区の役場に連絡を取りました。地区の担当者は親切な対応で、地域で料理の保存などに取り組む人を紹介していただきました。こうした情報収集でだいたいの形は見えてきました。
試行錯誤の中で、一般に手に入る材料ではレシピ通りに作るとうまくいかないところも多く、オリゴ糖を使って滑らかにするなど料理チーム独自の工夫も加え、完成させました。
一部、料理チームのアレンジも加わっており「山餅」の伝統的なレシピ、とは言えないかもしれません。多くの人は食べたことがない料理ですが、一口食べると「あっ、おばあちゃんの味」となぜか懐かしくなる、不思議な味です。おそらくは、ネットで簡単に検索できる唯一の「山餅」レシピだろうと思います。ぜひ、お試しあれ。
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