近年続く肉ブームは留まるところを知らない。しかしどの店も目玉商品に肉料理を打ち出していることから、次第に差別化が難しくなっている。そんな膠着(こうちゃく)状態をブレークスルーするアイテムとして注目なのが東京・新宿の「居酒屋キャリフォルニア」の「ビア缶チキン」だ。圧巻の見た目とクセになるスパイシーさで、エンタメ力の高いインパクトを放っている。

丸鶏はたっぷり1kgサイズ

「米国ではバーベキューパーティーの定番料理としてビール缶チキンがおなじみ。米国西海岸をコンセプトにしている当店の看板メニューに最適だと考えて商品化しました」と山崎道也店長。

材料の丸鶏にはたっぷり1kgサイズを使用。これをチリパウダー、ガーリックパウダー、オレガノ、ローズマリー、ニンニク、塩コショウでマリネすること2~3日。しっかり中まで味が染み込んだところを、ビールの入ったビール缶に丸鶏を差し込んでオーブン焼きする。

外はバリッ、中はしっとり

ビールが沸騰するまでは280℃の高温で加熱し、その後は少し温度を下げてじっくり熱を通していくが「温度が高すぎると表面が焦げすぎ、低すぎると芯まで熱が通らない。最適な温度調節に試行錯誤を繰り返しました」と山崎店長は開発時の苦労を振り返る。

焼き上がったチキンはあたかもビール缶を椅子にして鶏が鎮座しているかのようで強烈なインパクトを放つ。「ほとんどのお客さまは歓声を上げて喜んでくださるのですが、時々ドン引きされてしまうお客さまもいらっしゃいます」と山崎店長は苦笑する。とはいえ同品がテーブルに置かれると、客はこぞって写真に撮り、SNSにアップ。SNS隆盛の今に格好の販促アイテムにもなっている。

外側はパリパリと香ばしくスパイシー、中はビールの蒸気でしっとりと軟らかく蒸し上がって、もも肉もむね肉もジューシーな味わいこの上ない。

米国西海岸をコンセプトに

またアルコールに米国西海岸産のクラフトビールとワインをそれぞれ15品、20品前後とラインアップを充実させ、米国西海岸をコンセプトにした居酒屋を明確に打ち出している点も個性が光る。店内は壁にサーフボードを飾り、ミッドセンチュリー風のインテリアを使うなど演出に趣向を凝らす。これがライフスタイル感度の高い30~40代男女の高い支持につながっている。

週末のみランチ営業をしているが、ランチ限定のハンバーガーが1000円を超える値付けながら2回転する人気ぶりだ。

●店舗情報
「居酒屋キャリフォルニア」 経営=メロー/店舗所在地=東京都新宿区新宿3-28-16 コルネビル4階/開業=2013年5月/午後5時~翌午前0時(フードLO11時、ドリンクLO11時30分)、土・日・祝日のみランチ営業あり正午~3時30分(LO3時)、無休/坪数・席数=18坪・40席/1日平均客数=50人/平均客単価=4000円

◇日食外食レストラン新聞の2017年3月6日号の記事を転載しました。