焼肉店に欠かせない「ビビンバ」は、もはや日本食といえるほど浸透しているが、ここ20年くらいは、後発の「石焼きビビンバ」に押され気味で、本来の存在感はイマイチ。本場では、魚介の刺し身やチーズをのせたり、白飯の代わりに五穀米を使ったりと、伝統と革新の融合が活発化しているのだが、日本では旧態依然の感が否めない。そこで全国焼肉協会は、ビビンバ本来の魅力を見直しながら、新たな定番を模索すべく、「ジャンルを超えたビビンバ対決」と銘打った「焼肉料理コンテスト2018」を実施する。

焼肉店・飲食店・一般消費者などプロアマ問わず募集

従来の応募資格は、協会会員店の従業員に限られていたが、今回は会員以外にも門戸を解放。焼肉以外の飲食店や一般消費者からの応募を歓迎し、ビビンバの可能性を広く深く柔軟に考えてもらう意向だ。

さらに、賞金を大奮発してグランプリは50万円。決勝進出者への賞金総額は120万円。ぜひとも多くの方に参加してほしい。

コンテストの概要や応募方法など詳しくは焼肉料理コンテスト公式サイトへ。

特別審査委員などのコメント

西田悦久氏(プロ調理技術指導事務所「オフィス・ニシダ」代表、東洋大学国際観光学部国際観光学科非常勤講師)
「ジャンルを超えた」というテーマに対し、どのような提案が集まるのか期待しております。私は長年フレンチに携わり、調理の劇的な進化を体験してきました。いまや日本料理の要素を取れ入れるのが普通となり、本場では国境を越えたレシピ開発が活発化しています。

ビビンバも従来の枠組みにとらわれず「まぜごはん」という認識で取り組めば、ユニークなアイディアが沸いてくると思います。とはいえ奇抜な発想には注意してください。料理には「理に適った本質」があります。

おいしさ、見栄え、健康という三身一体が調和してこそ、商品として受け入れられ、人気も長続きします。それらを踏まえれば、プロ以外の方にも十分チャンスがあります。創意工夫あふれるレシピを歓迎し、試食審査会を楽しみにしております。

宮川ジュンコ氏(管理栄養士、教育学修士、料理研究家、日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート)
ビビンバは、混ぜて食べるおいしさ、彩り豊かな見栄えだけでなく、コメの炭水化物、肉のタンパク質、野菜のビタミンを同時に摂取できる、栄養学的に理想的な料理です。シンプルかつ奥深い料理なので創意工夫は自在。オリジナリティーを存分に発揮できます。

また日本は、日本料理の繊細な伝統を受け継ぎながら、洋食や中華など他国の料理も柔軟に受け入れ、世界一豊かな食文化を育んできたと思います。その感性を生かしたバランスのよいメニュー提案に期待します。

そして、管理栄養士の立場から申しますと、ビビンバの醍醐味である見栄えを演出する際、カラフルな色素に代表される植物由来の抗酸化成分であるフィトケミカルを意識すると、栄養的にもさらに魅力が増すと思います
力作の試食を楽しみにしております。

金信彦副会長(全国焼肉協会副会長・会員増強委員長、トラジ社長)
日本のビビンバといえば、ご飯にナムルをのせたものが一般的ですが、本場のビビンバには、ビビンバ専用の具材やご飯が多数あり、店の数だけ、家庭の数だけ、多種多彩なレシピがあるといわれます。特別なルールはないので、今回のコンテストに参加される方は、既成概念にとらわれず創意工夫を前面に臨んでほしいですね。

一つ、本場と日本の違いを挙げるならば、本場のビビンバには「生野菜を生かしたサラサラパリパリの清涼感がある」といった点でしょうか。キュウリの千切りやサンチュの切れ端を上手に活用して食感にアクセントを加味しています。生野菜に限らず、こうした食感のアクセントが、ビビンバメニュー開発のヒントになると思います。

◇焼肉新聞の2018年4月20日号の記事を転載しました。